Lardiere & Schwartz (1997)
Lardiere, D., & Schwartz, B. D. (1997). Feature-marking in the L2 development of deverbal compounds. Journal of Linguistics, 33, 327-353.
あと少しで書き終わるといった段階で誤って消してしまいました、トホホ。ブログの編集画面に直接書き込むのではなく、エディタなりワープロソフトなりで編集したものをコピーした方がどうも安全ですね。Word とかなら、何かあったときにも自動バックアップ機能で大体修復できますから。
結構な分量を書いたので、新たに書き直す気力もありません。というわけでごくごく簡単に紹介。
Deverbal comounds とは、”wash dishes” という動詞句から派生した “dish-washer” のような複合名詞のことです。英語では V-O が O-V という語順になり、非主要部名詞が generic なものを示す複数形だったのが、-s が取れて単数形になるという2点が特徴です。これに対して、スペイン語の場合には (1) の様になります:
(1) un lavaplatos = un lav -a plato -s = a wash -*3SG plate -**PL
Notes.
*3SG = 3rd-person singular suffix
**PL = plural suffix
英語と違い、deverbal compound の形でも V-O の語順は保持され、複数形の形態素も付いたままです。Lardiere & Schwartz の分析では、この2つは関連しています
スペイン語を母語とする英語学習者に対して、Lardiere & Schwartz は表出実験を行いました(データ自体は Lardiere の博士論文のもののようです)。被験者に、例えば「足の指に絵の具を塗る人」の絵を見せて、What do you call this person? のような質問をしていきます(期待される返答は “toe-painter”)。
英語学習者の発話のうち、誤ったものを分析した結果、主に次の2つのタイプに分類されました:
- VO errors (fly-eater に対して eater-flies と言ってしまう語順の誤り)
- ING errors (hand-washer に対して hand-washing と言ってしまう接辞の誤り)
言語学的な分析をすべてはしょってしまうので、話がつながりませんが、結論としては、(a) 学習者の誤りは、Universal Grammar の制約から逸脱するものではないことと、(b) しかしながら、不十分な中間言語は表出処理の段階で正しい phonological forms を選択できないこと、の2点を示しています。Schwartz & Sprounse (1994, 1996) の Full Transfer/Full Access model に対応するこの結論については、Lardiere の別の論文を次に読んでもう少し詳しく検討しますが、とりあえず肝心の部分を引用しておきます。
Our account crucially relies on the initial ‘transfer’ of the L1 Spanish representation of deverbal compounds, in line with the Full Transfer/Full Access model …, in which the L1 features are specified from the beginning …; the errors result from spelling out these L1-specified featres with English affixes with which they are compatible. (p. 348)
Bonnie Schwartz は現在僕の指導教官。ちょっとおっかないですが、面倒見もよくとても親切な先生です。ただ、中途半端な理解や分析で話をすると厳しく突っ込まれるので注意が必要。余談でした。
