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今回の投稿は、オンライン授業をどのように始めたのかについて紹介します。特に大学に入学したばかりの1年生を対象にした科目を例に、実質的に一度も対面せずにオンライン授業を軌道に乗せるまでのステップを振り返りたいと思います。ご参考までに、この授業は週2回開講なので、全部で15週30回の授業で構成されています。
授業開始前
僕が担当した1年次科目は学部の新入生全員が履修するもので、 授業開始前のガイダンス期間に対面で簡単なプレースメントテストを実施した上でクラス分けを行いました。プレースメントテストの場で、授業に関する重要なお知らせをメールで一斉配信するので確認するようにと伝え、第1回目の授業前に各自が担当教員にメールで自己紹介(英語)を送るという課題を用意しました。
自分の担当するクラス(実履修者17名)から自己紹介を受け取ったあとで、僕の方から案内メールを1通送りました。今後のコミュニケーションはLINEオープンチャットで行うことを伝えて登録を促し、自宅のITやWi-Fi環境を調査するためGoogleフォームで作成したアンケートへの回答を依頼しました。
さらに、授業は原則同期型(リアルタイム)で行うことも伝え、初回授業はLINEで行うので開始時刻までに待機しておくよう伝えました。授業開始までに17名がLINEオープンチャットに参加してくれていたので、初回授業は予定通りLINEにて行いました。
第1回授業
2回目以降はZoomを使う可能性を伝えてあったものの、1年生ということでひとりひとりがどのような環境にいるかすべてを把握しているとは思えなかったため、初回授業はLINEのみで実施しました。僕は自宅のメインPC(MacBook Air)にLINEアプリをインストールしてあるので、キーボードを使ったスムーズな文字入力が可能です。学生はおそらくみんなスマートフォンで参加していたと思います。
どんな感じで授業を始めたのかは、実際のログを見ていただくのが一番わかりやすいと思います。
この後は、提出してもらった自己紹介への全体的なフィードバックや、それに関する質問や意見交換をLINEで全員を交えて行いました。学生たちははじめてのオンライン授業、しかも書きことばでのリアルタイムなやり取りという形であったにも関わらず、積極的に意見を投稿してくれたので、予想していたよりも活発な授業になって僕自身ほっとしました。
第2回目以降
第2回目の授業もLINEを中心に進めました。出席確認後、宿題にしておいた修正版自己紹介への簡単なフィードバックを行い、それに続いてこちらでテーマを用意したいわゆるエッセイライティングの課題に取り組んでもらいました。そして授業の終わりにZoomの動作確認を行い、うまくいかない学生についてはメールやLINEでやりとりしながら授業外の時間も使って全員がZoomを利用できるところまで持っていきました。
第3回目の授業ではLINEを使ってGoogle Classroomの導入を行い、授業の後半でふたたびZoomの動作確認を行いました。そして第4回目からはZoomをメインに授業を進めましたが、授業開始時の挨拶と出席確認は引き続きLINEオープンチャットを使いました。Zoomについてはほぼ問題なく使えていましたが、Zoomへの接続がうまくいかない学生や時々落ちてしまう学生、さらに音声トラブルなどが発生することもあったので、LINEはそのバックアップの役割も果たしました。Zoomにもチャット機能がありますが、Zoomそのものに接続できないトラブルでは意味がないですし、あとになって振り返るためには保存したログを開かなければならないわけで、テキスト情報のやりとりはLINEに集約した方が便利でした。
ここまで2週間ほどの時間を使い、一度もグループとして集まることなしに無事オンラインでの授業環境を整えることができました。もっとも2週間ただ環境整備をしていたわけではなく、ライティングやリーディング課題も織り交ぜていたので、15週が終わったところでは昨年度と同じだけの授業内容をカバーすることができました。出席率と授業への参加状況も、対面だった昨年度までよりもむしろ高い状態が最後まで続き、特にエッセイライティングについてはここ数年担当したクラスの中では全体として一番よい成績だったのではないかと思います。
その他のクラス
前期に担当した1年次科目はこのひとつで、それ以外はすべて2年次以降の科目でした。2年生以上であれば、少なくとも大学のメールやポータルサイトの使い方は覚えているし、前年度までに僕の授業を取っている学生も多く、授業に絡んだLINEでのやりとりにも慣れていたので、1年次科目よりはずっとスムーズにオンライン授業を始めることができました。基本的にはメールやポータルを使って学生をLINEオープンチャットに招待し、そこでZoomに関する情報を伝え、初回からZoomで授業を行うことができました。
以上、対面なしでオンライン授業に入るために僕が踏んだステップを紹介しました。次回からはLINEとZoom以外のプラットフォームの利用方法について紹介したいと思います。