2018年を振り返る

年末です。今年も一年を振り返ろうと思います。

TBLT/ESP

2018年は、ここ数年続けているタスク・ベースの言語指導(task-based language teaching: TBLT)に関する教育実践とそれに基づく学会発表を中心に行いました。僕は大学の経営学部で英語を教えていて、将来ビジネスで英語を使うことを想定した特定目的の英語(English for Specific Purposes: ESP)教育の主軸としてTBLTを取り入れたシラバス・デザインとその実践を積極的に行っています。授業実践は当然試行錯誤の連続なわけですが、自分の教え方の軸にTBLT研究のこれまでの知見を置くことを心がけていて、それに関連したテーマでいくつかの講演やフォーラム等で話す機会がありました。

日本国内でのものも含めて英語での発表が多いのは、日本の英語教育という文脈でTBLTの認知度がまだまだ低いということかもしれません。去年松村昌紀さん編集の『タスク・ベースの英語指導: TBLTの理解と実践』(Amazon.co.jp)を出版しましたが、日本でTBLTが更に広がることを目指していきたいと思っています(日本でTBLTが広まらない理由は色々ありますが、ここでは割愛します)。それと同時に、日本におけるTBLT実践の事例を国外の研究者にもっと知ってもらう必要性も感じているので、2019年以降は口頭発表だけでなく、英語で書いていこうとも考えています。

SLA

最近は英語教育関係の研究や教育実践にエネルギーを割いていますが、大学院の博士課程(もう20年近く前の話です)では教育とは少し距離を置き、外国語学習者の持つ統語や形態素に関する知識の測定とそのメカニズムの解明について真剣に考えていました。2018年はそのことも思い出しつつ、第二言語習得(second language acquisition: SLA)研究にも少し手をつけました。特に知識の測定に焦点を当て、明示的知識(explicit knowledge)と暗示的知識(implicit knowledge)の弁別やその関連について書きました。ひとつはお世話になった科研の成果物として以下の書籍に収録してもらい、もうひとつは現在鋭意修正中で来年にはこちらも書籍の一部として出版される予定です。

上記のブックチャプターについても、3年前にソウルで発表したTypes of L2 morphosyntactic knowledge that can and cannot be observed in learner corpora. という発表が基になっていますし、ずっと遡ればはるか昔に書いた卒論(あまり思い出したくない)のテーマも明示的・暗示的知識の習得だったので、このラインの研究は今後も細々と続けていきたいと思っています。

おわりに

研究以外にも、仕事や私生活でいろんなできごとがありましたが、今年のまとめは研究のことだけにしておきます。さて、2019年はどんな年になるでしょうか。